こんにちは。平澤です。たいへん長らく更新をサボってしまいました…。実はこの一年ぐらいの間にいろいろとありまして、結果から申し上げると、ルミノワは私一人で再出発ということになりました。
ちょうど一年ぐらい前でしょうか、デザイナーの黄さんから退職したいという申し出がありました。デザインやアニメーションを担当する社員が一人しかおらず、困った時に相談したり教えてもらうことができない、と気遣いを含んだ言葉で丁寧に伝えてくれました。さんざん慰留はしたのですが、黄さんの意思が翻ることはなく、仕方なく後任メンバーを求人サイトで募集したものの、反応はなしのつぶてでした。
たった3人の会社で、おじさんと若者二人がメンバーで、広告の映像を作っているとはいっても、サイトに実績がほとんど載ってないんじゃ応募する気にはならないよな、と自分でも思いました(企業VPというのは社内向けの映像や営業用の映像が多く、実績公開はNGと言われてしまうことが非常に多いのです)。それにもし誰か良い人が来てくれたとしても、黄さんと同じ壁にぶつかってしまう可能性は高かっただろうとも思いました。こうなると、新メンバー加入の芽はありません。
残るのは、私と内海くんの二人。でも彼はディレクター志望です。そんな内海くんにとって、おじさんディレクターと二人きりの会社に居続けることはあまりメリットがありません。アシスタント業務や制作業務ばかり続きそうだし、ルミノワに来る仕事の幅も限られてるし…というのは彼になりきった私の妄想ですが、それでも彼の方から辞めたいと言われることはありませんでした。
一方で私は、こんなふうにも思いました。元々おじさん三人が集まってスタートした会社。それが、おじさん一人になって、優秀な若者が二人入ってきてくれて。この二人と一緒にやってもうまくいかないならもう会社は畳もう、自分にはきっと会社というものを経営する能力が足りなかったんだと。それで内海くんには、会社を畳んで他の会社に転職しようと考えている旨を伝えました。だから内海くんも転職先を探してほしいと。その時、彼がホッとしたのかどうか、それは分かりませんが、とりあえず理解はしてくれたようでした。
その後の二ヶ月ぐらい、生まれて初めて真面目に就職活動をしました。不惑も過ぎて随分ジタバタしてるな俺と思いましたが、変な自信はあったんです。これだけ雑多な経験をしてきた人は少ないだろうし、作ってきたものにも自負があったので、ディレクター職、プロデューサー職、クリエイティブディレクター職に応募しました。結果はというと、惨敗です。笑
ただ、中には興味を持ってくださる会社もあり、ある会社では最終面接まで通してくださいました。にもかかわらず、その時の私の気持ちは非常に中途半端なものでした。嬉しいし、ありがたい、その期待に応えたい、でも本当にこの会社でこの仕事がしたかったんだろうか、と思ってしまったんです。そんな気持ちですから、受け答えもチグハグなものになり、入社してほしいとはなりませんでした。そこで気がついたのは、私は企業VPを作るという今の仕事が好きだし、今のクライアントが好きだし、今の自分も嫌いではないということでした。
さあ、どうしようかと悩んでいる時、内海くんの転職先が決まりました。旧知のカメラマンが所属する会社の映像部門で若手を募集するということで、現場を共にしたことのある内海くんに声をかけてくれたのです。ホッとしました。とりあえずこれで彼が路頭に迷うことはありません。あとは自分がどうするか。と言っても、一人でやる方向に気持ちは傾いてましたから、会社を残すかどうかの二択です。そして残すことに決めました。これはもう事務的な理由です。個人事業主に戻るにも手続きが必要だし、そのためのお金もかかる、連絡先や口座も変えなきゃいけない。だったら、もうルミノワという会社は残していこうと。
以上が、この一年ぐらいの間にルミノワに起こっていたことのあらましです。一つの区切りとしてここに書き留めておきたいと思います。黄さんは今年の1月から、内海くんは5月から、すでに別の会社で新しい一歩を踏みだしています。振り返ればあっという間の短い間でしたが、私にとっては色々な経験をさせてもらえた貴重な時間でした。二人には感謝しかありません。
最後に、もしこの文章を読んで、仕事頼んで大丈夫なのかな?と思われている方がいらしたら安心してください。優秀な若い二人が社内にいたことで、仕事が円滑に進んでいた面があることは確かです。でもそれは、二人のおかげで私が楽をしていたということでもあります。元々この仕事を始めた当初から、プロデューサー兼ディレクターとして仕事をしてきました。社内のメンバーと組んでやった仕事よりも、一人で外部のスタッフと組んでやった仕事の方が多いかもしれません。そういう意味では、元々の形に戻ったにすぎません。今後、受けれらる仕事の量は減ってしまうかもしれませんが、作るもの、作る過程の質を落とすようなことはしないつもりです。これからも今まで通り粛々とやっていきたいと思います。